「平地に憧れがあったんですよ」——熊野の山の上から見つめていた、ハブになる街
熊野町の山の上に住んでいた私にとって、海田町はずっと「憧れの平地」でした。電車が通っていて、呉にも西条(東広島)にも広島市内にも行ける。遠くから見ていた海田町には、すごく便利な街というイメージがあったんです。
ただ、正直に言うと、住む前は「大正交差点のあたりは渋滞も多いし、空気や匂いはどうなんだろう?」なんて少しネガティブな印象を持っていたのも事実です(笑)。
でも、いざ暮らしてみたら、そのイメージはガラリと覆りました。確かに程よい賑やかさはありますが、住んでみるとものすごく心地がいい。「ちょうどいい場所」って、まさにこの街のためにある言葉だと思います。広島駅まで電車でわずか10分で、運行本数も多い。呉方面にも東広島方面にもスムーズにアクセスできるハブ(拠点)として、これほど暮らしやすく、フットワーク軽く動ける場所はなかなかないと思います。
「PTAが楽しい!」って本当? 口コミで人が集まる、海田の深い地元愛
海田町に来て最初に感動したのは、子育て環境の質の高さでした。「ひまわりプラザ」や「ネウボラ」など、困ったときにいつでも相談できて、新米ママを優しく受け入れてくれる窓口がしっかり機能している。それだけで、子育ての心強さが全く違いました。
そしてもうひとつ、私にとって大きかったのがPTA活動です。「PTAが楽しかった!」と言うと驚かれることが多いのですが(笑)、私は気づけば9年間もPTA役員を続けていました。海田の人たちは本当に地元愛が強くて、みんなが良い意味で巻き込み上手、巻き込まれ上手なんです。
一般的なイメージだと、PTAの役員って「大変そう」「できれば避けたい」と敬遠されがちですよね。でも海田は違いました。みんなが喜んで参加するし、ママ友同士で「楽しいから一緒にやろうよ!」と口コミでどんどん人が集まってくる。こんなにポジティブなエネルギーに溢れた地域、他にないんじゃないかって本気で思います。 ビーチバレー、太鼓、野球やサッカーなどの地域チーム、そして高齢者福祉にいたるまで、コミュニティが本当に活発。この「人を温かく迎えて、一緒に盛り上げる」土壌があるからこそ、新しく移り住んだ私も、自然とこの街のファンになっていきました。
地獄岩は、私のお気に入り特等席!コーヒーが繋ぐ日浦山の人の輪
私が山登りを始めたのは、2017年か2018年頃。山好きの主人に連れられて、家族で登ったのがきっかけでした。海田町と広島市安芸区の境にそびえる標高345.4mの「日浦山」は、幼稚園の遠足でも登るような身近な山ですが、山頂からの景色は一級品。海田の街並みから広島湾までを一望できる、その中にある「地獄岩」というスポットの絶景に、一発で心を奪われてしまいました。
それ以来、日浦山は私にとって特別な場所になり、今ではトレーニングがてら一人でも頻繁に登っています。 山頂の地獄岩は、私にとっての「最高の天空カフェ空間」でもあるんです。先日も、初めて日浦山に登るというお二人に出会った際、「美味しいコーヒーが飲める絶景スポットがあるんだけど、一緒に行かない?」と声をかけて(まるで山のナンパですね!笑)、地獄岩までご案内しました。目の前に広がる大パノラマを眺めながら、岩の上で飲む「山コーヒー」は本当に格別。どんなに忙しい日々でも、ここに来て岩の上に腰掛けると、不思議と心がすーっと軽くなって、何でも話せてしまうパワーがあります。
気温33度の「地獄岩サンセットナイト」!会話も爆走する、最高にタフな夏の夜
夏の夜には、また違ったドラマが生まれます。仕事終わりに駆けつけてくれたトレランの友人と、癒し系の山仲間という、いつもとは違う顔ぶれの3人で集まった「地獄岩サンセットナイト」。気温33度の真夏の熱気の中、山頂を吹き抜ける心地よい夜風を感じながら見下ろした宇品の花火は、忘れられない夏の思い出です。
ちなみに、そのトレランの友人は、向洋から自転車でやってきて、そこからさらに日浦山を走って登ってくるという規格外のタフさ(笑)。山頂での会話のテンポも爆走気味で、夜の地獄岩の上は、笑いと熱気で大盛り上がりでした。
諦めかけた空に現れた「卵黄サンセット」。この街には、コスパ最強の絶景がある
日浦山から望む夕陽は、言葉を失うほどの美しさです。ある日、「どうしても最高の夕陽が撮りたい!」と思い立ち、わざわざ休みを取って、ヘッドライトまで新調して万全の態勢で山に挑んだことがありました。しかし、当日は空一面が厚い雲に覆われてしまい、「今日はもうダメかな……」と諦めかけていたんです。
それでも「絶対に奇跡は起きる!」と信じて粘り強く待っていると、日没間際、厚い雲の隙間から、まるで濃厚な卵の黄身のような、燃えるようなオレンジ色の太陽が顔を出してくれました。「急げ急げ!一瞬のシャッターチャンスだ!」と必死にカメラを構えたあの瞬間は、「もう、海田町最高じゃん!」と心から震えました。
こうした日浦山での感動の瞬間をInstagram(@etsu.s_y_a)で発信するうちに、山を愛する人たちとの繋がりがどんどん大きな輪になっていきました。先日は、トレランの方々とハイカーチームが合同で集まる「ヒノウランズサミット」を@fujihuarachesさんと開催することができました。初対面の方同士でも、お揃いの「Hinouruns」と書かれているTシャツを着ているだけで、一瞬でものすごい一体感が生まれる。山が、年齢や立場を超えて人と人を繋いでくれるんです。
駅からのアクセスが抜群に良い日浦山には、最近では市外からも多くの登山客が訪れます。「これほど手軽に登れて、これだけの感動を味わえる『コスパ最強の絶景』は他にないよ!」って、みんなに自慢したくなりますね。
瀬野川の清流に育てられた子どもたち。街と大自然が「ギュッ」と凝縮された財産
子どもたちが小さかった頃の1番の遊び場は、すぐ近くを流れる「瀬野川」でした。橋の上から川へダイブしたりね(笑)。今振り返ると親としてはヒヤッとしますが、それくらい川が身近で、大自然が当たり前に生活の地続きにありました。
カモの親子がすぐ側を泳ぎ、季節になれば鮎も遡上してくる。これほど透明で美しい清流が、住宅街のすぐ目と鼻の先にあるなんて奇跡のようです。何度もテレビの取材が訪れるほど、その水の綺麗さは折り紙付きです。
海田町は、山も、川も、海も、ちょっと歩けばすぐそこにある。街の便利さと自然の距離感が「ギュッ」と驚くほど近いんです。このコンパクトで豊かな距離感こそが、海田町が持つ一番の財産だと思います。 これからの未来を生きる子どもたちには、もっともっとこの自然の中で泥んこになって遊んでほしい。少し五感を使うような、冒険的な体験をした方が、子どもは絶対にたくましく、心豊かに育つと思うから。深すぎず浅すぎず、ちょうどいい清らかさを持つ瀬野川で、体を使って学び、豊かな感性を育てていってほしいですね。
「カフェない問題」の嬉しい解決。変わりゆく街並みと、変わらない居心地の良さ
以前は、大正交差点のところに「サティ」があって、すごく便利だったんです。買い物はもちろん、中高生が放課後にちょっと集まれるような、街のハブになっていました。 私自身、かつては地元にあった回転寿司の「シージャック」に10年間パートとして勤めていて、地域のお客さまたちと賑やかに過ごす日々が大好きでした。時代の流れとともに、お店が変わっていく寂しさも少しはありますが、それも街の成長ですね。
最近の嬉しい変化といえば、ずっと住民の間で囁かれていた「海田町、カフェない問題」が解決に向かっていることです(笑)。駅前に「brique rouge(ブリックルージュ)」というおしゃれなカフェができたり、美味しいバスクチーズケーキのお店やベーグル専門店ができて、そこに人が集まって楽しそうにしている風景を見るのが、とても嬉しくて。 行列のできるうどん屋さん「もとなり」のように、地元の人にずっと愛され続けるような個性的で素敵なお店が、これからもっと増えていくといいなとワクワクしています。
これからも「安芸郡海田町」のままで。100周年に向けて愛され続ける街へ
これから30年後、100周年に向けて海田町がどんな街であってほしいか——。 私の本音を言うなら、「広島市に合併せず、ずっと安芸郡海田町のままでいてほしい」なんです。
例えば、大型ゴミの分別や出し方が自由で融通が利くところなど、郡だからこその「暮らしの優しさ」や「程よいゆるさ」ってありますよね。ガチガチに厳しくなくて、どこかホッとする田舎っぽさが残っている。ママ友たちともよく「この中途半端にいい感じの住みやすさ、絶対に変わってほしくないよね」って話しているんです。 広島市と合併することなく、「安芸郡海田町」というこの誇らしい名前と、独自の暮らしやすさがこの先もずっと続いてくれたらいいなと思います。
もし、私が1日町長になれるなら……海田町に若い子はもちろん、老若男女問わず集まれる大きなカフェを誘致したいです!かつてのサティのように、学生が放課後に「市内に遊びに行かなくても、海田にいたい!」と思えるような、おしゃれで居心地の良い居場所を街の中に作ってあげたいなと思います。
「海の田んぼ」が教えてくれる、これからの100年
最後に、私にとって海田町がどんな街か、一言で表すなら——やっぱり「住んでてちょうどいい、住んでて嬉しい街」です。
「海田」って「海の田んぼ」と書きますよね。かつては豊かな海だった場所が埋め立てられ、すぐ後ろには力強い山が構えている。この「海と山がコンパクトに共存している」という街の成り立ちそのものが、すごく分かりやすくてカッコいいなと思うんです。
都会すぎず、田舎すぎず、利便性も大自然も、そして何より「人の温かさ」が全部揃っている。ずっとこの街で暮らしてきて「やっぱりこの街が一番好き」と心から思えるのは、海田町がいつの時代も、変わらない安心感で私たちを包み込んでくれているから。 70周年という大きな節目を越えて、100周年の未来へ。このバトンを、次の世代にも「嬉しい街」として繋いでいきたいですね。
日浦山を安全に楽しむために(登山に関するお願い)
日浦山は初心者から楽しめる身近な山ですが、安全に登山を楽しんでいただくために、事前のルート確認やルートマップの携帯をはじめとした十分な準備が必要です。登山道に入ると水分補給できる場所がないため、必ず十分な飲料水を持参してください。足元は滑りにくい登山専用のシューズを推奨しています。また、夜間に登山される際は、ヘッドライト等の装備も忘れずにご用意ください。
日浦山には岩登りなどの専門的な技術が必要となる危険なルートも存在します。安全のため、必ず整備されている一般ルートをご利用いただき、それ以外のルートや立ち入り禁止区域への進入は絶対におやめください。ルールを守って、日浦山の素晴らしい自然を満喫しましょう!
▼日浦山の詳細な情報・ルートマップはこちら
海田町公式ホームページ:海田町を代表する山『日浦山』